そのことで、親友だった第一夫人のオルキスの母との間に陰りが生まれてしまい、その上、第二夫人になるべく城に召されていたエルシリアからの執拗な嫌がらせに遭い、心が折れ、ソラナは時計塔にのぼってしまったのだ。
寸でのところでセドマが止めたが、飛び降りようとしていた姿はモルセンヌの住民に見られていたため、姿が見えなくなったことで飛び降りてしまったと勘違いする者も現れ、そしてボンダナが「ソラナは飛び降り、消えたのだ」と発言したことが決定打となり、人々は悲しみに暮れることになる。
昔話にセドマ自身が出てこなかったため、リリアは「いつからお母さんを好きだったの?」と問いかけたが、それに関する答えが返ってくることはなかった。
きっと町を出る前から、ふたりは好き合っていたのではとリリアは想像を膨らませる。
すでに父を思っていたからこそ余計に、母は望まぬ婚姻に絶望してしまったのかもしれないと考えたリリアへと、セドマは切なげに続けた。
オルキスの母は亡くなるその瞬間まで、ソラナの力になれなかったことを悔やみ、ソラナもまたオルキスの母親に対し、真実を告げぬまま黙って姿を消したことを申し訳なく思い続けていた。
それほど絆の深かった二人だからこそ、オルキスとリリアが結ばれたことを天高い場所で喜びあっているだろうと、セドマは締めくくった。


