高座から降りた王に冷たく見つめられ、王妃は表情を強張らせる。

王はオルキスの目の前で足を止め、片膝を床につけると、息子の腕の中で浅い呼吸を繰り返しているリリアを切なく見降ろした。


「わたしも地位にしがみつくことなく、まっすぐにぶつかっていたら、ソラナの心をつかむことができたのかもしれない」


リリアはそっと瞼を持ち上げ、王へと視線を上昇させる。


「すまなかった」


リリアだけでなく、ソラナに対してにも聞こえる謝罪を受けると、リリアは王に向かって手を差し出し、にっこりと微笑みかけた。


「ありがとう」


全てを許すかのような微笑みに、王は両手でリリアの手をとると、一筋の涙をこぼしたのだった。