「リリアの思惑に気付いた娘がいた。それがユリエルだ」
自分の名前が出たところで、ユリエルは皆へと上品に笑いかけた。
「すでに骨抜きにされていたオルキスによって城から追い出されたというのに、ユリエルはアシュヴィ王のことや国の未来に心を痛めていた。なんてすばらしい女性だろうか」
王妃は一つ息を吐き出したのち、より真剣に言葉を紡ぐ。
「このような思惑も見抜けぬオルキスはどう考えても、王の器ではない。王にふさわしいのは、オルキスではなくセルジェルだ。そしてユリエルこそ花嫁として迎え入れるべき娘……王様、お願いです。どうか考えを改めください」
言葉が見つからないのか、表情を強張らせ固まっている王様に、王妃はほんの一瞬だけ笑みを浮かべ、そして大声で命じた。
「このふたりを牢獄へ連れて行け!」
時間が動き出したかのように、人々がそれぞれに動き始めた。
オーブリーに代わり、近衛兵のひとりがリリアを抱え上げようとするのを、ボンダナ、セドマ、アレフの三人が必死に止めに入ろうとする。
王妃とユリエルはその光景を楽しそうに見つめ、客人たちは眉を潜めてひそひそと言葉を交わし合っている。


