アレフはこの状況が飲み込めず戸惑いながらも、オーブリーの足元でぐったりと横たわり動かない女性を凝視する。
セドマはその女性をリリアと呼んだが、アレフにはそうは見えなかった。
「黄金色の髪。深緑の瞳。笑わせないでおくれ……これが娘の本来の姿だ」
女性の髪の色は黄金色ではなく漆黒だった。
しかし王妃がその髪を掴み上げたことで女性の顔が露わにされ、そこでアレフを始め、リリアを知る人々から、次々と悲鳴にも似た驚きの声が上がっていく。
確かに顔はリリアなのに、髪の色は違う。そして薄く開かれ見えた瞳の色も綺麗な緑色ではなく、黒だった。
人々のどよめきが広がりを見せる中、王妃が再び口を開いた。
「この娘は姿を偽って王子をたぶらかし、王妃の座に就いたのち王への恨みを晴らすつもりだった。これはソラナの娘。母の恨みを晴らすために、モルセンヌにやってきたのだ」
騒めきが一段と大きくなっていく。アシュヴィ王は椅子から立ち上がり、呆然とリリアを見つめた。
「ソラナは嘘のかたまりだ。死んでいたことすら偽りだったのだ。王はソラナの内面を見抜き、妃として迎え入れなかったが、そのことでソラナは愛情を憎悪に変え、アシュヴィの破滅を画策し、娘に託した」
「適当なことを言うな! ソラナは……っ!」


