強引に引っ張り上げられても、身体を左右に振られても、うまく力を入れることが出来ないリリアはされるがままとなる。


「お前は俺にモルセンヌから、ボンダナの前からも姿を消せと言った。だが去ったのはお前だ。お前が間違っていた! 相手を支配するために、呪術を使って何が悪い! きれいごとばかりを言うな!」


完全にリリアにソラナを重ねてしまっているオーブリーのその言葉だけで、オーブリーの負の性格やソラナと対立していたという過去も見えてくる。

乱暴にリリアを引き寄せ顔を近づけると、オーブリーは気味の悪い笑みを浮かべた。


「ソラナ。俺が作った薬の味は、昔と変わらず美味しかろう?」


目を見張ったリリアに満足そうな顔をしたのち、オーブリーは手荒に華奢な身体を右肩へと担ぎ上げた。

だらりと身体が垂れ下がったことで、視界を掠めた自分の髪に、リリアははっとする。

黄金色だった髪が、なぜか黒色に変化していたのだ。

目も痛いことを考えると、もしかしたら瞳の色までも変わってしまっているのではと、リリアを新たな恐怖が襲う。

華奢な身体から震えを感じ、オーブリーが笑い声を低く響かせる。