冷たい感触が喉元をおりてゆき、突然何かが爆発でもしたかのように、一気に熱が膨らみ、リリアの視界が黒く染まっていく。

ぐったりと倒れたリリアを見下ろして、王妃が満足そうに笑った。


「オルキスが動き出す前に、急いで運んでちょうだい」




+ + +




「……オルキス様……あの……」


自分を呼んだのが、リリアの世話を任せている侍女だということに気が付くと、オルキスは「失礼」と話を中断し、戸口へと足を向ける。


「どうかしたのか?」


不安に揺れているような表情に、オルキスが眉根を寄せて問いかけると、侍女は深く頭を下げた。


「オルキス様。お話を遮ってしまって申し訳ございません。でもお耳に入れておいた方が良いかと」


そこで一旦深呼吸を挟んでから、侍女は勇気を振り絞り、口を開く。


「実は、リリア様のことなのですが……」


緊張気味に続けられた話に、オルキスは目を見張り、息をのんだ。