セドマに苦笑いされながら「悪い」と繰り返され、リリアは頬を膨らませて窓際へと進んで行く。
既に日が落ち、外は薄暗くなり始めている。影が濃くなった庭園をぼんやりと見つめたまま、リリアは呟いた。
「……今頃、ボンダナ様は独りでお食事されているのかしら」
「ボンダナ様? 気になるか?」
そっと横に並び、同じように窓の外を見つめるセドマへと、リリアは静かに首肯する。
「ボンダナ様とは、今日庭でお会いしたの。しばらくは庭園の奥にある小屋の中で生活すると仰って、それで食事を持って来てほしいと頼まれていて……。ボンダナ様は独りで食事をとられているのかしら。それともお弟子さんが一緒?」
「あぁ。俺も今朝方会った。確かに、しばらくジャンベル城に留まると言っていたな。弟子のことも聞いたが、今はアシュヴィを放浪中らしい。たぶんひとりだろう」
リリアはセドマへと身体を向け、躊躇いながら口を開いた。
「私、もう少しボンダナ様とお話しがしてみたい。ここに留まられている間に、一緒に食事をすることは可能かしら」
「あぁ。オルキス様に頼めば、快く場を設けてくれるだろう。ボンダナ様もきっとお喜びになる」
「そうね、そうする。その時はお父さんも一緒だからね」
「分かった」