オルキスに見据えられていることが分かっていたかのように、ボンダナも瞳を開けて鋭く見つめ返す。


「すべてが動き出しておる。もう何も止められない」


オルキスは椅子から立ち上がり、リリアの横に並ぶと、細腰へと手を回してそっと抱き寄せた。


「俺の未来は彼女の笑顔と共にある」


ボンダナは揺るぎなく響いたオルキスの言葉に微笑むと、王様の元へと進み出た。


「我が命を賭してここに宣言する。第一王子と共にいる娘こそ、まさにわたしが予言した運命の乙女。そして第一王子こそ、この国をさらに豊かに出来る力を持つお方。いずれ貴方様の跡を継ぎ、立派な王となることでしょう」


そしてボンダナもまた、迷いなど少しも感じられぬほど力強い声で、誰の耳にも届くほど高らかに宣言した。

その瞬間、庭園に歓喜の声が巻き起こる。

強引にアレフの手を取り、喜びに満ちた声を上げるマルセロや、何事かと新たに歩み寄ってきた者たちへと、侍女が今見たことを話したくてたまらないといった様子で駆け寄っていく。


「王として、そして父としても。ボンダナの言葉、我が息子の思い、しっかりと受け止めさせてもらう」