「おやおや。思ったよりも早く顔が揃ったね」


心なしか不機嫌な顔で歩み寄ってくる王の姿に、その場に緊張が走った。

皆が次々と敬意を示して深く頭を下げる中、オルキスは軽く一礼するだけに留め、ボンダナに至っては笑みを浮かべて王の様子をじっと観察し続けている。


「何度も呼んでおるのになぜ来ないのかと思っておれば……オルキスよ、いったいここで何をしておる」

「可憐な花を愛でながら、わたくしめの心を落ち着かせておりました」


冗談にも本気にも聞こえる返答の後にオルキスから目配せされ、リリアは気まずさいっぱいに目を逸らした。


「なんだ。ボンダナ、お前もいたのか。まったくお前たちは……」

「おおっ! そこにいるのはセドマだな! こっちに来なさい!」


ボンダナは説教など聞く耳持たずで、王の後ろに控えていたセドマを見つけた途端、大声で呼びかける。

王の後ろからしずしずと進み出ていくセドマの後方には、お茶会の様子を見て憤りの表情を浮かべているユリエルと、居城へと繋がる回廊からただ静かにその様子をじっと見つめている王妃の姿があった。