静かに紡がれたボンダナの言葉に、リリアは自然と笑顔になる。


「ありがとうございます」


胸を震わせながら、リリアがボンダナの背中に手を添わせると、どこからか歓声が上がり、一気に場が湧きたっていく。

それがまるで祝福でもされているかのようで、リリアは驚きと共にボンダナから身体を離し、思わず周囲を見回してしまう。

そこでリリアはほんの少し怖くなる。

ボンダナから歓迎はされたが、運命の乙女のことについて何も触れられてはいない。

まだそうだと決まった訳ではないのに、周囲に集まっている皆はそのような目でリリアを見つめているのだ。

オルキスに迷惑をかけてしまったらどうしよう。

焦りを感じながらオルキスへと顔を向け、リリアはドキリと胸を高鳴らせた。

オルキスが一番嬉しそうに、自分を見つめていたからだ。

嬉しい気持ちでいっぱいになる反面、気付かぬふりなどできないほどに“本当に私なのか、私で良いのか”という思いが大きく心を占めていく。

こうしてそばに置いてもらっているのは髪と目の色のおかげだと感謝する反面、その先のことを考えてしまうと、これらの色を持っていることにどうしても怖気づいてしまう。