オルキスは少しだけ目を大きくさせ、そして心なしかリリアへと身を乗り出しながら、すぐに言葉を返した。


「呪術師? ボンダナか?」

「いえ……ボンダナという方ではなく、確かオーブリーという名前の男性で、王妃様と一緒にいました」


ゆるりと首を振りながらリリアが口にした名前に、すぐにオルキスは興味を失ったらしく、「あぁ」と素っ気なく呟いた。


「呪術師はみな……その、何ていうか……あのように近寄り難い雰囲気なのですか?」

「どうかな。風変わりが多いのは確かだが、オーブリーは特別だ。何度も見かけている俺ですら慣れない。会うたび薄気味悪いと思う」

「そうですか……では、ボンダナ様はどんな方?」


問いかけたは良いが、ボンダナまで想像とかけ離れていたらどうしようかと気が気でなくなっていくリリアへと、オルキスが茶目っ気たっぷりに笑い返してきた。


「気になるか? 近いうちに、リリアをボンダナに会わせたいと思っている」

「本当ですか?」

「あぁ。だから覚悟しておいた方が良い。その日、また運命が大きく動き出すだろう」


オルキスが予言者の口振りを真似てみせた。

少し大げさな言い方をしたため、冗談めいても聞こえるのだが、リリアは笑うことができなかった。