「娘の年は十七。ソラナが死んだのは二十年も前のこと。ソラナの娘であるはずなどないのに……その姿はまるで生き写し」

「王様もそう感じ、セドマを自室に呼びつけたのでしょうか?」


エルシリアの言葉に後ろに控えていた古株の侍従が、それほど興味を持っていないかのような仏頂面で抑揚なく問いかけた。

エルシリア王妃は鼻で笑ってから、考えを述べた。


「きっとそうでしょうね……彼女の死に関しては謎が多すぎたから、まさかと思うのも仕方のないこと」


傍に控えている数人の者たちが、物音一つ立てずにいる中、エルシリア王妃は考え込むように、顎に手をやり、流し目をする。


「セドマは娘の母親のことを正直に喋るかしら。それとも肝心なところはさっきのように素知らぬ顔で誤魔化し通すのかしら」


廊下を見やり、自分たち以外の気配がないことを確認したのち、エルシリアの鋭い声が飛ぶ。


「オーブリー」


自分の目の前へと進み出て、片膝を床につけ頭を垂れた呪術師へと薄く笑いかけ、命令する。


「……あの親子のことを調べてちょうだい」

「仰せのままに」


まるで己の忠誠を誓うかのように、オーブリーの耳障りな掠れ声が響き渡った。