最後に重々しく発せられた言葉の衝撃に、オルキスは顔を強張らせた。


「まぁそれも可能性の一つにすぎぬが」


外套の上から、オルキスは手で胸元を軽くおさえた。


「……嫌な可能性だな」


しかしその嫌な可能性こそ、自分が呼び出された理由だということは、ボンダナの表情を見ればはっきりとわかった。

得体のしれぬ不安にひどく胸が騒めき、脈まで速くなっているというのに、その原因を作ったボンダナは心の澱を吐き出せたかのようにすっきりした顔をしている。

オルキスは胸元にある手を力強く握りしめる。

可能性の一つだと言いながらも「命を落とす」とボンダナに断言されてしまったからか、なかなか動揺がおさまらないのだ。

予言の相手さえ誰か分からないというのに、不安になってどうする。

強引に頭を切り替えれば、自分の情けなさに対し徐々に笑いが込み上げてきた。

オルキスは笑みを浮かべたまま顔を上げると、ボンダナに真っ直ぐな眼差しを向ける。


「お前の言葉、心に留めておこう。悪いが今日はここまでだ」


オルキスは自分の後ろへと視線を送ると、そこに控えていたアレフが小さく頷き、戸口へと足を向ける。