キスをやめるのが嫌だった。

田中さんのキスは甘かった。

「さくらさん、もう少し一緒にいてほしい」

私も一緒にいたかった。

『私も、田中さんと一緒にいたい…』

「雅也。雅也って呼んで」

『雅也さん…』

雅也さんは私を抱き抱え、寝室へ移動した。

このままの流れを止めたくない自分と、帰らなきゃと思う自分の葛藤。

「ちゃんと送りますから」

私の心を読んだかのような、雅也さんの言葉。

そのまま体を預けてしまった。

私の体の隅々までキスを降らせる雅也さん。

体を優しく撫でてくれる。

それだけでも頭が真っ白になる。

こんなの久しぶりで、どうしたらいいのかわからない。

ただ幸せな気持ちだけが心にも体にもいっぱいに広がっていた。