熟恋ージュクコイー

「うん…」

次の言葉より先に、なぜだか涙が出てきた。

夫がいないこれからの30年、私はどうやって生きていこう。
今はカンナがいるけど、カンナにも彼女の人生がある。私に縛りつけることはできない。
そんなことを、たまに1人で考えている。
その度、まだ整理のつかない気持ちが出てきてしまい、寂しさも相まって涙が出てしまう。

『ねぇ、さくら。本当はさ、笑い合える人が隣にいて欲しいんじゃない?生き残っている人は先に進んでいかないとね。酷な話ではあるけど…』

「うん…」

俯いている私に、ミキ特製のケーキと暖かい紅茶が運ばれてきた。

『ほら、美味しいよ〜!食べて元気出して!答えは急がなくていい。ゆっくり考えてみなよ。』

ミキの優しさに、心から感謝しながら、美味しいケーキを食べた。