熟恋ージュクコイー

桜を見ながら、コンビニのご飯を食べ、たわいないおしゃべりをした。
誰かと一緒に食べると、コンビニのご飯も数倍美味しく感じる。

「真野さんのさくらというお名前は、もしかして桜からきているのですか?」

そう、私の名前、‘さくら’は、春の桜の季節に生まれた事が由来。
なくなった祖父が付けてくれたらしい。

『そうなんです。桜の季節に生まれたから、と祖父が付けてくれたそうで。来週、また歳をとります…』

「え!お来週、誕生日なんですか?」

『はい。もうこの年になると、嬉しさも何もありませんが、娘が毎年お祝いをしてくれます』

「そのお祝い、私も参加できますか?」

『!? え、いや、あのお気持ちだけありがたく頂きます。』

「冗談です。笑
お誕生日のお祝い、別にやらせてください。来週ご都合の良い日を改めて連絡もらえますか?娘さんとのご予定もあるでしょうし…』

『は、はい。』

満足そうにしている田中さんの隣で、俯きながら答えた。