「虹虫って、知ってる?」



俺は始めナツミが何が言いたいのか、わからなかった。



ナツミは山の上から見える小さな町を見下ろしながら、静かに言った。



「この神虫山にはね、虹虫って言う神様がいるんだよ。虹虫は蝶の形をしてるの。虹色に光る蝶のように」


「虹色に光る蝶?」



「そう、虹虫は願いを叶えてくれるの。見た人の願いを一つだけ、叶えてくれるの」