「なんで、なんで、なんでっ! なんで俺じゃあないんだよ!」



自分が不甲斐なく、胸が熱くなる。



爪が肉に食い込み痛い。



でも、ナツミの心はもっと痛い。



「神様はなんでナツミを選んだんだよ! 返せよ! ナツミを返せよ!」



ついに我慢できなくなり、病室を飛び出す。



これ以上ナツミに情けない姿を見せたくなかった。



俺は病室から飛び出すと、すぐ近くにあった白い壁に拳を、怒りを向けた。