「何の話っすか?」

玉村は訳がわからないと言った様子で聞き返してきた。

「例の彼女だよ、広告代理店に勤務してるとかって言う」

俺は言い返した。

それが目的で斎藤ゆめのと一緒に七夕祭りに乗り込んだものの、自分の彼女への気持ちに気づいてしまったせいでそれどころじゃなくなったのだ。

「聞きたいっすか?」

身を乗り出して聞いてきた玉村に、
「…聞いて欲しくないみたいな態度だな」

俺は言い返した。

「いや、村雨さんが他人の恋愛に興味を持つなんて意外だったから驚いちゃって」

玉村はヘヘッと笑った。

「…ああ、そう」

俺が呟くように返事をしたら、
「村雨さんもずいぶんと変わりましたね。

やっぱり、結婚っていいっすね」

玉村は得意気に笑いながら言い返したのだった。