「熱ッ…でも、美味しい!」

斎藤ゆめのは嬉しそうに頬張っていた。

皮はパリパリで、とても歯ごたえがあって美味しかった。

コクリとビールを口に含むと、自然と息がこぼれてしまった。

こう言うのも、たまにはいいものだな。

「次は何を食べますか?

忠政さんが食べたいものでいいですよ」

「そうだな、何にしようかな」

隣で無邪気に笑っている斎藤ゆめのに、俺は自分の心臓がドキッ…と鳴っていることに気づいた。

ああ、そう言えば…と、俺は気づいた。

よくよく考えたら、これは俗に言う“デート”と言うものじゃないか…と。

今頃になって気づいた事実に、俺は両手で頭を抱えたくなった。

「…パエリアなんか、どうだ?」

苦し紛れに、それもたまたま視界に入った屋台を俺は指差した。