ラーメン屋を後にして、映画館へと足を向かわせていた。

「楽しみですね、映画」

わたしがそう声をかけたら、
「ああ、そうだな」

村雨さんは返事をしてくれた。

一緒に映画館に向かっていたら、わたしの視界にあるものが入ってきた。

ウエディングドレスだった。

そう言えば、どうするんだろう?

契約結婚だったから当然挙式もしていなければ、籍も入れていない。

「なあ」

そんなことを思っていたら、村雨さんが声をかけてきた。

「はい」

わたしが返事をしたら、
「籍を入れるか?

せっかく本当の夫婦になれたんだし、いつまでもこのままって言う訳にはいかないだろ?」

村雨さんが言った。

もしかして、同じことを考えてたのかな?

それはどうなのかはよくわからないけれど、わたしは嬉しくなった。