裕大side


入学式。

あいつと出会った。

背が小さくてずっと笑っている。


入学して3日後、一人ずつ前に出て紙をテレビに写しながら名前と好きな〇〇と一言いう、よくある自己紹介をした。

あいつが立って体をくすめながらゆっくり歩いていた。 

すると、あいつと同じ学校なのか馴れ馴れしく

「よっ!おばちゃん!」


と叫んであいつが


「うるさい!」

と言い返してクラスで初めて大笑いした。

俺もお腹を抱えて笑う。

テレビに写された紙を見て好きな食べ物を見るとぷはっと笑ってしまった。

何とそこには『好きな食べ物→梅干し・里芋の煮』と書いていた。

これではおばちゃんと言われないことがないと思った。


俺は恥ずかしながら早く終わらそうと迷わずさっさといった。

その時にあいつと目があった。

さっきまで笑っていたのにあいつの顔がいきなり赤面した。

初めての顔だった。

俺は自分の席に着いて座り、あいつの背中を見た。

席はあいつの後ろ。
一番後ろだ。

それから日がたち、あいつが仲が良い子と仕事をしていた。

俺は今日初めて宿題を忘れてしまった。

廊下で違うクラスで仲が良い晴道としゃべっていた。

すると後ろから視線を感じて横を向いて視野にいれると、あいつがぴょんぴょんはねながら俺にアピールしてきた。


あいつが言いたいことはもうわかっている。
だが、俺はわざと気づいていないふりをして喋り続けた。


晴道が先生に呼ばれたのであいつに忘れたことを言おうと窓から声をかけた。

声をかけるなら面白くかけようと思って言葉に出たのが


「おばちゃん」

だった。
笑いながらも許してくれたものの、そのあとあいつが


「はい!
っていうかおばちゃんじゃない!」


と言って仕事に戻った。

それからあいつの行動が気になり、いつも目で追うようになった。