メールチェッカー 【1】


覗き見モードの太田は、もう一人の太田との戦いにあっけなく勝利した。


もう一度、風呂場を確かめる。

勢いよくシャワーを浴びている音が聞こえる。

今は洗髪中だから確実にあの場所から動かない。


太田は静かにディープピンクの携帯に手を伸ばした。




初めて見る、彼女の携帯メールの中身。

フォルダが2つに分けられている。

一つは受信メール全般。

もう一つは太田専用のフォルダだった。


太田は嬉しくなった。

自分が愛されていると実感した。

それなのに、こんな行動をしている自分に少しだけ罪悪感もこみ上げてきたが、反対に自信も湧いてきた。


これならば、何も怪しいことはないはずだ。