思い起こせば、確かにすべて事実だった。

だが、彼女は自分に面と向かってそんなことを言ったことは一度もない。

見ず知らずの男に愚痴るぐらいなら、何故直接言ってくれないのだろう。




一方アツシからのメールは、彼女の愚痴をうまく聞きながら、事あるごとに自分への乗り換えを提案していた。

よほど彼女にのめり込んでいるらしい。

だが、彼女はその都度うまくはぐらかして返信している。

その点だけは救われる要素ではあったが、やはり悪い虫を黙って見ているのは気分がいいものではなかった。