「ありえない!ありえない!ありえない!」
ありえないを連発しながら弁当の中に入っているハンバーグを口に運ぶ桃代。
「何がありえないの?」
プチトマトを加えながら首を傾げて花梨が聞いてきた。
「ありえないの!」
「だから、何が!」
今度はご飯を口に入れながら夏樹が割り込んできた。
「だからね…」
「「うん…」」
二人が同時に首を縦に振る。
「あのナルシくんと今日…」
「ちょっと待って!」
手を桃代の口に当て、夏樹が話すのを止めてきた。
「ナルシくんって誰?」
「あっ!ごめんごめん。
坂本隼人だよ!」
「はあ〜〜」
すると花梨が呆れながら私を見て、夏樹を見た。
「ま、いっか。桃代には隼人様の良さがわからないからー…。」
そう夏樹に言うと、花梨はまた桃代の方に顔を向け直した。
隼人の良さがわからなくてどうもす・み・ま・せ・ん!!
と花梨に顔で訴えながら二人を少し睨んだが、そんな桃代にこの二人はまったく気付いていなかった。

