「昨日の遊園地でもさ、二人っきりになった時も
隼人隼人隼人って…
花梨ちゃんの近くにいたのは俺なのにさ
俺じゃなくて、隼人の事しか頭になかった花梨ちゃんに、つい当たっちまったんだよー…」
「そうだったんだー…
だから怒っちゃったんだよね?」
小さく縦に頭を動かす和馬を見て、桃代は空を自由に飛び回っていた鳥に目を向けた。
「そりゃーさ、花梨が悪いわ」
「…………」
和馬は黙る。
「でもさ、こうは考えないの?」
親指を立てて、何かを提案したかのような笑みを浮かべた。
「花梨さ、照れる時ね、何をしたらいいか頭がこんがるんだってね」
「?」
だから?と言わんばかりの表情をする和馬を無視して桃代は喋り続けた。

