「スキ……だけど―…」 “スキ”とちゃんと花梨の口から聞けたのに、少し胸を撫で下ろしていたが、 花梨の表情は、一行に暗いままだったので 桃代は、心配しながら聞いた。 「だけど?」 下に向けられている花梨の顔を覗き込むようにして見つめた。 だが、桃代は、花梨の顔を見て、そのまま止まってしまった。 そして、さっきより さらに心配してしまった。 「花梨…」 優しくそっと花梨の肩に手を置いて呟く。 「泣かないで…。」