彼は黙って、眉を下げていた。
私の言ったこと当たったのだろう。
本当にそうだよと言っているかのように。
「……あんたの言った通りかもしれない。俺は誰かに見てほしかった。淋しかったんだと思う。だから、誰かを感じることができるおにぎりを通して、感じたいと思ったんだ」
誰かに見てもらいたいけど見てもらえない悲しみで彼は涙が溢れ出そうになっていた。
私は頭の中でペットボトルを思い浮かべた。
カラカラな口の中を五〇〇ミリリットルの容量が入っているペットボトルを飲み干す。
それは寂しそうに残ったペットボトルだけ。
心の中は、空っぽなのだ。
「分かりますよ。気持ち。私もそうですから」
「あんたもなのか?」
私は頷く。私は彼を直視できなかった。
彼が感じる空気は今の天気に似ている。
太陽のような温かさもありモヤモヤした雲が彼の心に覆われている。

