教室の窓から葉桜がうかがえるようになった。3年の春、クラスに慣れ始めたころである。
あっ……
「風菜あ……」
「なーにー?」
「筆箱忘れたー……貸してください泣」
「また?由依最近忘れ物多すぎやない?どうしたと?」
ほんとどうしたんやろ。私。
風菜にペンたちを借りて席につく。
隣には……
「由依」
優叶。私の彼氏。
「今日は何の日か知っとる?」
え…………あ!
「忘れてた」
今日で付き合って1年になるんだった。
「だと思った。」
とちょっとふてくされる優叶。
「私は優叶と一緒に入れるだけで幸せやもん。」
「そんなこと教室で言うなよ。」
ちょっと嫌やったんかな?
「表情わかりやすっ。でもそう言ってくれるのは嬉しいよ。」
よかったあ。
自分でもわかるくらい顔がにこやかになった。
キーンコーンカーンコーン
授業の鐘がなった。
……寝ないように頑張ろう。