「そんな顔しても、誘ってるようにしか見えないからね?てか、勝手に人のテリトリーに踏み込んどいて拒否権とかねーからな?」




「えええ、そんな事言われても、」




「ちっ、」





煮え切らない私に、上月くんは盛大な舌打ちをかまして離れていった。




ひょいっと机の上に座って、足を組んで。




──── ズル、




膝が笑ってしまって立つことが出来ない私を温度のない瞳で見下ろした。




「どうする?俺のテリトリーに踏みこんどいて無傷で帰れるとか思うなよ?」




にやり、と笑った上月くんを見て、ああいつもの君はどこへ行ったんだ、と思った。