「村人Bくん、」
「は、」
怖いんだってその顔が!
あと纏ってる空気とか!オーラとか!!!
その恐怖に、後押しされる形になった、なんて言い訳に過ぎないが
「なんで、泣いてる、の?」
もちろん、好奇心には勝てない。
だけど、それが大きな間違いで、なおかつ人生を大きく変えたと言っても過言ではない程の大事件を巻き起こすなんて、知らなかったんだ。
「おい。」
「は、はい、っ!!」
──── ガンッ、ガッタン、
いきなりの大きな音に目が白黒する。
耳が痛い。
ビギーーーーンッ、ってなった、痛い。
あ、やばい。と思った時にはもう手遅れだった。
だってほら、椅子が蹴られて転がれば誰でもそっちに意識はいくでしょう?
──── ドンッ
「った、」
「永野さんさ、」
あ、名前知っててくれたんだ、なんて場違いなことを頭の片隅で思いながら
「ち、近い近い近い近いっ!!!」
「あ゛?」
待って待って待って待って、本当にこの人、温厚な村人Bですか!?
背後には棚、目の前には温厚 …… ではない村人Bくん。
「なに、ねえ、誰の許可得て踏み込んでんの?」
ねえ?と妖艶に微笑む彼。
村人Bどころか、主役を食っちゃうよこんなの!
いつもと180°違う村人B……もとい、上月(こうづき)くんに心臓はさっきからバクバクと嫌な音を立てる。
「あ、それとも今から、アブナイこと、する?」
それとも、ってなにともだよ!と内心突っ込みながらも本当に上月くんからはアブナイ雰囲気しか感じない。
「し、しません、っ」
継続的に緊張状態にあるからか、涙が滲む。