「正直、心配。」



「は?」





唐突に高野から切り出された言葉に俺は呆気にとられるしかなかった。





「さっき、泣きながらすれ違った花乃がそう叫んでいったよ」




「は?」





俺の理解力が足りていないのか、



はたまた高野の語彙力が足りていないのか。


それとも、どちらもなのか。





「怖くて、俺様で、二重人格で、普段は人畜無害な村人Bなのに」




さっきからバカにされているのか、その為にここにいるなら ────





「それなのに、私は上月くんの優しさを知ってしまったから、」



「……は?」




「色のない目を知っちゃったから」





どうしよもなく、好きなんだ、って言ってたけど?




首をかしげてそう言い放った高野は挑発的な目をしていた。




本当にその言葉を花乃が言っていたとは限らない。




だけど、あの日俺が泣いていた理由と、
今の花乃のないている理由が一緒なら、




いや、それ以上に花乃が辛い思いをしているのだとしたら




「ちょっと行ってくる」





んだよ、迎えにいくしかねーじゃん。