Sin side
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・・・
『ごめん上月くん、約束、守れそうにないや…っ』
悲痛な叫びが耳に残って離れてくれない。
「んでだよ、」
なんでこんなに花乃に振り回されて、っ
『上月くんは、私の事好きじゃないよ。』
「っクソ、!」
誰もいない教室に響く、自分の情けない声。
「本気になっちゃった?」
ゆっくり足音はこっちに向かってきて、
──── ガタッ、
小さな音を立てて目の前が陰った。
ボサボサの髪の毛もお構い無しに顔を上げて、
「内海。」
「よ、クズ。」
「クズ言うな。」
「いや、今のあんたはクズ以外の何者でもないからね?」
そう、目の前にいたのは内海。
それから
「てかなんでお前もいんだよ、高野。」
「んー?そりゃ親友の恋路が心配だからじゃんねー?」
『ねー』なんてふたりして言っている。
いつの間に仲良くなったんだか。
それで?と1オクターブ以上下がった高野の声にはっとする。
「誰の許可得て私の花乃のこと傷つけてくれてんの?ん?あんた達なんか変だなーとは思ってたけど?いくら待ってもあの子は話してくれないし?挙句あんたは花乃のこと泣かせてるし?」
深い深い、それはもうとても深いため息とともにお見舞いされた言葉たち。
「返す言葉もありません」
それも、自嘲気味に笑ってしまうくらい。