大きく見開かれた上月くんの目。 徐々に緩められていく手首の拘束。 「ごめ、っね、」 そうひとつ呟くと私は床を精一杯蹴って駆け出した。 ・・・ 廊下に響くのはたったひとつの足音だった。 ふたつにならないことがどうしたって悲しくて、今日の涙は溢れて止まることを知らなかった。