「ごめ、っ、」



思わず目をそらしてしまって、慌てて立ち上がって机の上に置いたカバンを手に取る。





──── パシッ





もう教室には誰も残っていない。




いきなり手首を掴まれて体制を崩したことによって机に身体が当たって痛い。





ガタッ、と教室に響いた音は資料室で蹴られた椅子の音に幾らか似ていて。





今までのこと、全部思い出す。





3日間。



たったの3日。





音響係の私にはもったいない程、楽しかった。





楽しすぎたんだ。




調子、乗っちゃったや。






「上月くん。」




そう呼べばビクリと反応する上月くんは随分小さく見える。




「上月くんは、私の事好きじゃないよ。」




「え?」





唐突にそう切り出した私に怪訝な顔をする。




そりゃそうだよね。





「微塵も好きじゃない。あの日たまたま私が資料室に行って泣いている理由を聞かなきゃただのクラスメイトだったんだから。ね?」





ただの自己暗示にか過ぎない。




それをこんなぺらぺら話してバカみたい。





バカみたい、だけど。





「ごめん上月くん、約束、守れそうにないや…っ」





ごめんね。



破っちゃうや。