1時間目は化学。




運の悪いことに、上月くんと実験班が同じで、さっきから実験の説明をしてくれている先生の話の9割が耳に入っては抜けてという行為を繰り返している。





心の隅っこで先生にごめんなさい、と謝りながら昨日のことをぼんやりと考える。





「では実験を始めてください。」




その声が聞こえた時には、あっと思った。



やらかした何も聞いてなかった。と頭を抱えるも後の祭りで。




申し訳ないけど、「じゃあやろ〜」っとセーターを腕まくりする音萌に任せようとおもった。




だってほら、上月くんに聞いてなかったなんて言ったらなに言われるか分からない。




「じゃあ花乃は上月くんと理科準備室に薬品取りに行ってくれる?」




ほら、言わんこっちゃない。




いや、何も言ってないけど。




「分かった」と何のためらいもなく引き受けてしまった上月くんをきっと睨む。




いや、にらもうと思ってやめた。


そんなことしたら私は準備室から生きて帰れる自信が無い。