「永野さん、抜けてそうだからさ、いくつか約束しておこうか。」



「抜けてない!」




太陽の傾き始めた時間、ついさっき “ 仮 ” の彼氏になった上月くんと通学路を歩いていた。



道に伸びたふたつの影。




「じゃあ、永野さん、バカだから約束してね」




「なっ……!」




ああもう本当に、人畜無害で温厚な村人Bくんはどこへ ……




「むっかつく……!」



「悪いこと言う口は塞ぐよ?」




にっこり、ブラックスマイルをかまされた。。




そんな彼にこっそり溜息をつきつつ、「それで?」と先を促した。




上月くんは右手をグーにして見せた。




まずひとつめ、と人差し指を立てる。




「お互いを名前で呼ぶこと。」


「えっ」




驚きを隠せない私をよそにふたつめ、と人差し指に続け中指を立てる。