「あのってなに?母さんは…いや、陽人も美波を知っているの?」


もしかして、美波は何か問題がある子だったりするのだろうか。


全然そうには見えなかったけど…。


「おばさん、落ち着いて。あおは何も覚えてないんだから」


陽人が宥めるように母さんの肩をポンと叩いた。


「『覚えていない』?陽人、どういうことだ?」


俺は何かを忘れているのか?


「……おばさん、もうそろそろ言ってもいいよね?あおだってあの頃よりもう全然大きくなったし。きっと受け止められるよ」


大きなため息を一つついた陽人はそう言って母さんに目配せをした。


母さんは何かを決心したように一度固く目を閉じ、頷いた。


「…そうね。陽人君、蒼海に話してあげてもらえるかしら?」


そして、陽人は悲しそうに微笑み、俺に向かって話し始めた。