「海…?なんでいきなり海なんて行っているの?」


母さんの声は震えていて、その目はどこか怯えているように見えた。


この目は、陽人に海へ行ったと言った時と同じ反応だ。


……そういえば、陽人にも俺が海へ通っている理由言ってないっけ。


ちょうどいいから、美波の話をしてみよう。


もしかしたら、美波から聞いた面白い海の話を聞けば母さんも陽人も表情を明るくしてくれるかもしれない。


「美波っていう女の子がいてさ。最近は海へ行ってその子と話しているんだ。その美波なんだけどさ、すごい海に詳しくて…」


そこまで言って、2人の顔色が良くないことを悟り、思わず口を噤む。


…むしろ、さっきより悪くなってないか?


「みっ、みなみちゃんってあの…?」