陽輝くんが改めて話してくれたことは橘先生が話してくれたよりももっと複雑で残酷だった。


「俺、本当は琴音ちゃんのこと覚えてるよ」


そういった陽輝くんの口調が、あの頃の優しい陽輝くんに戻っていてわたしの目からは涙がポロポロ落ちた。


「俺、幸せになっちゃいけないんだ」

「そんなことない。陽輝くんは、幸せになって、いいんだよ」

泣いているわたしをみて陽輝くんは優しく微笑むと

「ありがとう」

といった。