「陽輝くん、ちょっといいかな?」

声をかけてみたけれど案の定顔をあげてくれない。
でも、あきらめずに声をかけていると陽輝くんは顔をあげてわたしをじっとみてきた。

「なに?」

「話したいことがあるの、ちょっと屋上まで一緒にきてくれないかな?」

「なんで」

「どうしても、お願い。」

「ちっ」

そういって陽輝くんは舌打ちをしたけれど、席を立ってすたすた歩きだした。

わたしはそれだけでも嬉しくてつい顔が緩んだけれどここからが勝負だとおもってまた気を引き締めて後を追った。

途中廊下ですれ違う人にはこそこそ何かをいわれていたけど、陽輝くんがすごい目でそっちをみるのでみんな逃げるように教室に入っていった。