―――ガチャ
「あ、姉ちゃんおかえり」
玄関をあけるとリビングから翔がでてきた。
「ただいま!ちょっとまたこれからでかけてくる!もしかしたら遅くなるかもしれないけどちゃんと帰ってくるから!」
「え?どこいくの?」
「ちょっと県外にいってくる」
「は?なにしに??」
「好きな人を救いに!」
「え、ちょっと姉ちゃん!」
翔がまだなにか言いたそうにしていたけれど一刻も早く行きたくてわたしはそのまま家を飛び出した。
早川先生に陽輝くんの転校先をきくと県外だったけれど、調べたら電車でいける距離だったのでわたしは今日いこうと決めた。
それでまた陽輝くんが通っていた小学校や中学校にいって話を聞いてみよう。
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「姉ちゃん、ちょっと変じゃない?大丈夫かな?県外って、しかも好きな人って姉ちゃん県外に恋人でもいたのかな?」
「大丈夫じゃない?あの子なら。わたしと一緒で一度決めたら曲げないタイプだし、どんなことでもつっぱしっていくと思うから」
そんな風にお母さんと翔が会話していたことも知らなかった。