星夜(せいや)に願いを

「そーいや、夜。今日このクラスに転校生来るって知ってる?」
「え?初耳なんだけど。誰情報?」
「噂好きな田中。職員室に行った時聞いたんだと。」

田中は噂好きだが嘘は吐かない。
だからたぶん、転校生が来るのも本当なんだろう。
・・・まぁ、俺は正直言って転校生なんてどうでもいい。
3年の最後の試合がもうすぐあるから、そっちの方が気になってしかたがない。
俺の気持ちを察したのか、美月は含み笑いを浮かべ、俺の肩を叩く。

「あんまり無関心だと、痛い目見るよ?」
「・・・は?」

何が。
そう尋ねる前に、担任の秋山先生が教室に入ってくる。
秋山先生は淡々と今日の予定を告げた後、

「もしかしたら知ってるやつもいるかもしれねーが、うちのクラスに転校生が来る。」

美月が言った通り、転校生の紹介に入る。

この時点で俺は、まだ気付いていなかった。

「望月、入れー。」


転校生が、俺の大好きで大切な幼馴染みであることを。