「はー。マジで疲れた。」
「お疲れ様。教室で見てたけど、アンタ凄かったわね。」

片付けを終えてから教室に行くと、小学生からの付き合いである美月が、パチパチと俺に適当に拍手を送る。
小学生の時から野球をしていたから、ホームランなんて何度も見ているはずなのに、なぜか毎回やる気のない拍手を送ってくれる。
やる気がないんなら拍手を送らなくてもいいのに、と思うけど、言った瞬間般若のような顔になるだろうから言わないでおく。

「やっぱりアンタが野球部の中で飛び抜けて上手いわね。さっすが我が校のエースピッチャー様。」
「それ、本当やめろ。だいたい、小さい頃から親父に野球教わってるから今があるわけだし、俺の才能じゃねーよ。」
「でも、ここまで来たのはアンタの力でしょ。」
「いーや、俺だけじゃない。・・・アイツがいたから俺はここまで来れたんだ。」

目を閉じたら、思い出す。
大好きな幼馴染みの笑顔と、あの日の言葉。


アイツが・・・星がいたから、俺は挫けそうな時、前を向けたんだ。