〜夜 side〜

ーカキーンッ!!

心地いい金属音と共に、青い空を横切る白いボール。
このままいけばホームランかなぁ、と考えながら走り出す。

「レフト、レフトッ!!」
「くっそ!!萩野、ピッチャーとしてもすげぇのに、バッターとしてもこの野球部でトップクラスとか!!本当、何なの!!」
「へへっ、悪ぃな。」

ホームベースまで後少し。
ここまで来たら、逆転勝利だ。
なんて考えていたら。

ーキーンコーンカーンコーン。

「やっべ!!予鈴鳴った!!」
「ってことで、夜のホームランの点数追加なしな!!」
「マジで!?狡くね!?」
「予鈴までにホーム帰ってなかったからな。ドンマイ!!」

まさかの俺の走りは無駄になり、勝ち逃げとなった相手チームのやつらはさっさと部室へ戻る。


残された俺達のチームは、若干愚痴を漏らしつつ、急いで片付けを行った。