いつぶりだろうか、こんなに声を出したのは。

「このノート!誰のですか!!」

全く、こんな声で満足してしまうなんて。
私も弱くなったもんだ。

さて、誰が持ち主なのか。

私は周りを見回す。

手を挙げてくれれば、その人に渡せるのだが___。







___誰一人として、手を挙げてくれている人は、居なかった。


寧ろ、騒がしさは増す一方だった。



(……こんな筈じゃ、無いのに)


嫌なことがあると、今までの行動全てが恥ずかしくなって消えたくなることがよくある。


説明に丁度いい。
今はそんな状態に置かれている。

ネガティブモードに入れば、こっちの
もんだった。

私は今本当に大声が出せたのか。
私はちゃんと存在しているのか。
私は皆から見えているのか。
透明人間じゃあないのか。

現実から物凄く離れたような考えも、
どんどん出てくる。

幻聴のような笑い声も聞こえてくる。
他愛のない話で盛り上がっているように見えるが、実は私のことで笑っているんじゃないか?

(……なんて惨めなの、自分って)