「この新作めっちゃ可愛いけど高いんだよねぇ」

「は?お前彼女出来たとかマジで?」

「痩せたいけど甘いもの食べたーい!」

クラスは似たような話題で持ち切りだった。

一人一人の声が大きいだけでなく、人も休み時間というのもあり、普段よりも騒がしさを増していた。

こんな騒がしいところでは、多分私の声は通らないだろう。

でも、持ち主は居るんだ。

名前を書き忘れただけで、その人のノートが失くなってしまうなんて可哀想。

「あの…」

一人一人に声を掛けようとするも、清々しいほどにスルーされてしまう。

それが何度も続いて、だんだん虚しさと恥ずかしさが込み上げてきた。


(ううん…ここで凹んでたら…ダメだ!!!)

私は自分の弱さにムチを打って、教卓へと立った。


「このノート!誰のですか!」