「今日は部活についてお話しします。」


濃い紫髪が、艶やかに笑っている

そんな中教室は混乱でいっぱいだった
混乱というよりハテナの方が多い


「部活というのはそのものの通り部活です。」


なんとざっくりとした説明なんだろう。
なんか志麻先生らしくない説明だ。
それらを無視し、彼は説明を続ける。

「" 己の目標を持ち、達成することで成長する " というのが部活をする目的です。
皆さん、自分の目標にあった部活をしっかり選んでください。」

志麻先生は微笑んで言った。


「せーんせぇ!部活ってぇ何があるのぉ?」

せっかくのいいムードが1人のクラスメイトの女の子によって掻き消される。すっごく甘ったるい声で先生に話しかけるものだから私だけじゃなく秋桜まで顔を歪めている。

秋桜が顔を歪めるってどんだけだよ、と内心で愚痴る

「あぁ、そうですね。その説明をするのを忘れていました。

部活は8コあります。剣道部、弓道部、空手部、能力戦闘部、能力研究部、能力理論部、オーケストラ部、美術部です。運動系は能力戦闘部以外能力は一切使いません。怪我をしたら危ないですからね。文化系の部活は全て能力を使います。」

あの甘ったるい声で聞かれても顔ひとつ歪めずきちんと対応している先生に尊敬の念を送る。
それにしても先生が忘れるなんていうと思わなかった。勝手な偏見かもしれないけど私にとって先生は完璧な人だから。



「へぇ、せんせぇーありがとぉー」


「いえ、浅野さんも質問ありがとうございました。
皆さん、今日の放課後から部活見学です。 色々な部活を見学して来てくださいね。」

そう言って先生は教室をでていった。
私達はまだ授業らしいものは受けていない。おそらく部活が決まった頃に本格的な授業が始まるだろう。

「ねえぇ、みぃーんなどこにいく?」

浅野さんがあの甘ったるい声で教室全体に響くようにいった。
意図してやっているのか否か、どちらにしろあの甘ったるい声で叫ばないで欲しい。


「「「………………………」」」


教室は沈黙に包まれる。
みんな答えに迷っているのだろう。


「あれぇ?みぃんなぁ?どうしたぁの?」


「「「………………………」」」


浅野さんが聞き返しても誰も答えない。


「………みんな答えてくれないんだね。」



さっきみたいな甘ったるい声じゃない浅野さんの声が響く。
それはいまにも泣き出しそうな声だった。

どうしたんだろうと浅野さんに視線を送る。浅野さんは泣いていた。クラスのみんなはそれに気づいていないのか誰も反応しない。浅野さんは走って出ていってしまった。