「先生!」 私の声に、その人は振り向いた。 「葉山…」 「先生。私はもう葉山じゃないです。“上谷 華恋”ですよ」 「そうだったね」 私の言葉に先生は優しく笑った。 「今日はありがとうございます。先生に会えて嬉しいです」 「改めて、ご結婚おめでとうございます。“華恋さん”」 「そういうの、ずるいですよ」 先生は罪な人だ。 そうやって私のことを弄ぶんだ。 でも嫌いにはなれない。 あの頃から、ずっと……