(うーん遅い!遅いぞ)

15分あれば買って来れるハズなのに、40分経っても50分経っても二人が帰って来ない!

何やってるんだ?

何か起こってるんじゃないのか?

(やっぱりついて行くべきだった…)

この不安をどうしたらいいんだっ。

『プルルルッ』

と突然内線電話鳴ってビックリ!

(!)

ディスプレイは教授室の番号を示してる。

(な、何だ?)

受話器を取ると、教授の声が返って来た。

「あー私だ、こっちの控え室でみんなで休憩を取っているんだが、君もどうかな?」

教授の声の後ろから、ニギやかな女子学生の話し声が聞こえてくる。もちろんアイツの声も!

「あっハイ、すぐ行きますっ!」

答えてすぐに受話器を置いた。

(マッタク、人に気を揉ませといてノン気に何やってるんだよ!)

飛び出すように部屋を出て階段を駆け下り、廊下を走って、控え室へと駆け込んだ。

「あらっ先生、早いじゃない」

声を上げた広海君が、島型に並んだ机の手前側にミライと向かい合って座ってる。

並んで院生の女の子が二人向かい合って座っていて、一番奥に教授がこっちを向いて腰掛けていた。

一度教授に会釈してから、すぐに広海君に詰め寄って、見下ろすように前に立つ。

「おいっ、初めからここへ寄るなら寄るって言っといてくれよ!」

息を荒げたまま言葉をぶつける。

が、見上げたまま動じない広海君。

「何をそんなに怒ってるのよ先生。ミライさんの事がそ~んなに気になる?」

ニヤニヤ笑う広海君。

そう言われると言い返せないじゃないか。

「いや、そんな訳じゃないけど…」

マッタク、口では彼女にかなわないよ。